冷たい心臓 ハウフ童話
幼少時より食いしん坊バンザイだったのだなあ、と思う。
絵本でも、おいしそうなものが出てくるたび、ひじょうに気になる子供だった。
おぼろげな記憶で、「コビトさんが料理人になり、王様にホロホロ鳥の料理を出す」とかいうのがあった。
そのとき、物語はそっちのけで「ホロホロ鳥って何~~~?」と気になりまくったことしか覚えていないのだった。
あれなんていう話なのかしらとググって、ようよう「鼻の小人」だと判明。
原作本をゲットいたしました。
鼻の小人はもちろん面白かったが、この本は買って良かった。
アラビアンナイト風もあり、どれも心踊る。
読んで思ったが、すべてを網羅するのが孤独感である。人嫌いというか。孤高の感じが漂う。
後書きにもあったけれど、作家のハウフはひじょうに短い生涯であった。 → wiki 参照
結婚して子供も生まれた矢先、夭折。
もしもそこから愛を知ったのちに書けたとしたら、どんな作風になっただろう、と後書き解説にもあった。
「小さなムクの話」の締めくくりなど、胸が痛いほどだった。
大団円でもいいはずが、敬意を示されるムク氏が、裕福であるラストでさえ、さびしく暮らしているのである。
なぜなら、ムク氏は人間を軽蔑しているからです、と記されている。
ハウフが老成した後だったら、こんな哀しいことは書かない包容力があったかもしれない、などと夢想したのだった。
絵本