魔弾の射手 青池保子
まさにフォーサイス原作の、あの映画。
以前、「ジャッカルの日」という映画を観たことがある。
構図その他、よく似ているので、すぐにインスパイアされた作品だと推測できた。
映画でエドワード・フォックスが演じたジャッカルに、暗殺者オルグはよく似ている。ブロンドの狡猾なスナイパー。映画では森でスイカを的にして試射するところは、スイカでないけれど同じ。
最後に撃ち抜かれて吹っ飛ぶシーンは、実は単行本収録前の雑誌掲載分を見たことがあるが、映画のままの構図だった。
単行本になるとき、修正されて、映画そのままからは離れたものにしたようだ。
でも、それはそれ。ストーリーテリングとしては、青池氏のオリジナル。
いつもは大然のメンバーと登場する鋼鉄の男が、ピンで主演するだけに、サービス精神旺盛で、シリアスな中にユーモアもあり、ミステリーとしても秀逸なしかけがある。
リニューアル版のほうは、少佐が登場する番外編がほかにも収録されている。あのブラックジャックも入っている。
物語で重要な鍵となる、バリトンで少佐が歌う「フィデリオ・囚人の合唱」は、こちら。
オルグがイヤホンで聴いている「魔弾の射手」はこちら
どちらも入ったアルバム
それにしても、なんでもできるのだなあ。あらゆる役どころを演じ、意外にノリノリの演技派なのは必見の一冊。
戦車も戦闘機も旅客機も操縦できて、芸術音痴だが、ここぞというときにバリトンの美声であるよ。。。
さすが鉄のクラウス。 ← とばかり言っていたKBCのヒト(暗号名:緑のたぬき)がいたっけな。
自分にとってこのシリーズは第1期(皇帝円舞曲まで)で終結している。
ベルリンの壁が崩壊して、東西冷戦を前面に出せなくなったのが、なによりこの漫画世界においては痛かった気がする。