もの食う人びと(辺見庸)&橋の上の娘

非常に面白くパンチの効いた名文の一冊

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辺見氏の独特の文体。

無駄ないシェイプされた(ぐだぐだねちねち情緒を語ったりしない、めそめそしていない)ハードボイルドタッチな文章が心地良い。

食と旅という、どちらも好きなテーマである。

ぐへえと重い話も多い。

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ショッキングな話題が多い中に、きわめて特異な「サーカス一座の意味ある空腹」という短い章がある。

メルヘンといってもいいくらいで、どうした辺見さん。つまり面白かったわけですが。

そこを読んで映画のようだと思ったのだが、なんだか映画「橋の上の娘」をまた観たくなった。

1999年のフランス映画なので、ヴァネッサ・パラディもダニエル・オートゥイユも最盛期(お若くどちらも素敵だ)

ナイフ投げの曲芸師と若い女のロードムービーがモノクロとか、どんだかかっこよく撮るんだという。

直截的な男女の描写でないのに、ナイフ投げの場面のおそろしくエロティックなこと!

エロスとタナトスとはこういうことか

もの食う~の中のナイフ投げ夫婦の逸話は、まさに死と隣り合わせな曲芸の顛末を描いている。

映画のふたりが老成した夫婦になっていたらこうだったかもというくらい面白い逸話なので、是非どうぞ。

カテゴリー: BOOK