コリーナ、コリーナ
先日、レイ・リオッタ氏の訃報ニュースがあり
ニュース画像のお顔があまりに私の記憶と乖離していて、悪役の若かりし鋭利で酷薄そうな感じの印象しかなかったため、ほんとに最近、映画鑑賞から遠ざかっていたからなあ、という感慨
ボトックスとかフェイスリフトで容貌が変わる方が多くて、自然に任せていてもお美しいのに、などと思いつつも
グッドフェローズ、不法侵入、ハンニバルなどの悪役一辺倒しか見たことがなかったのです
今回のニュース反応でみなさんが「コリーナが良かった」と口々に言っておられて、寡聞にして知りませんでポチりました
こんな役柄もなさってたんですね、という優しいパパさん(怖くないリオッタ氏が新鮮)
歌ってたりしてびっくりするわ
みなさん芸達者でウーピー・ゴールドバーグはもちろんパンチがあり、子役の少女がうますぎる
亡くなった母親がバスルームにいると期待して戸を開けるとき、微笑んで駆け込んでくるところとか
一瞬にして笑顔は消えるわけですが
妻を失った父娘と黒人の家政婦さん
時代背景が1950年代後半なので人種差別は今も色濃くあるけどそれ以上だったと思われる
品行方正とはいえないけど、あたまがよく、人の心をくみ取る力があって
ほかのひとは目的があって子供に優しく振る舞ったりするけど(それは子供はお見通し)
コリーナは打算ではなく、ほんとうの気持ちですっとさりげなく手を差し出す感じ(比喩的な意味で)
娘のモリーがあっというまにコリーナ大好きっこになって
父親が彼女のスマートさに気づいて感心したりすると、わがことのように「でしょ、わかった?」喜んで微笑んでいたりするのが、ものすごく可愛らしい というか天才
ふたりが少しずつ惹かれ合っていくのを周囲も察知して
両方の家族がストップをかける
「鳥と魚が恋をしたら、どこに巣を作るの?」という言葉は痛かったな
この時代の空気感そのもの
居場所がない感じが
しかし、ウーピー・ゴールドバーグのラブシーンを観るというのはなにか観てるほうが照れるというか、あまりないことなので
ラストの無神論者のマニー(リオッタ氏)が天を仰いで願い
それを聞かれて半泣きみたいな感じで照れながら答える演技が、悪役しか観てなかったわたしは
うおおおおお、こんな繊細な役もできるのか(失礼すぎ)と驚いたのだった
しかし本編のなかで一瞬、我慢の限界でガラスの花瓶をたたき割って言い寄る女の人への最後通告にした場面は、いつもの通常営業で怖さがあったけど
人間的魅力で娘からも父親からも必要不可欠な存在になるラストはいい余韻
とても面白かった
モリー役 Tina Manjorinoさんのインスタより
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リオッタ氏のインスタフィードを遡って拝見しても、他の過去作より多く数回、この作品のことをアップしていて、ご自分でも手応えのある役で好きな作品であったのだなと思ったりしました
タフガイが多いと思うだろうけどこういう役もあるのをチェックしてみてね、みたいなことを書いてある写真もあって、もっとこういう役もやれるしやりたい、という感じにも見え、観たかったな、と
こんな機会でしか知ることがなかったというのが残念な気もするけど
すでにもう何回も見返すほど素晴らしい作品だった
ちょっと元気がないときに観たので
「あごをあげて胸を張って歩きなさい」とコリーナに言われる子供みたいに、自然と笑顔と元気をもらえるというか良き映画でした