みをつくし料理帖 完結
ついにようやっとこの日がきた。
完結したことよりも、源斎テンテーの処遇がうれしい結果。
しつこいようだが、一巻目から源斎先生プッシュ(8巻までの感想)の読者としては、もじもじしながら読んだ二人の会話。
ゆ っ く り ら ぶ。
源済てんてー、やればできる子!
いままで陰でひっそり思うだけの内気っこ源斎先生が、ついに愛情の発露!
読んでるほうが赤面する。
なんとかしようと、周囲がふたりをどうにかしたいとプッシュするところとか、もう激しく笑ったけど。
いろんな問題の一気解決、大団円のまとめだが、やはりじんわりと涙目。
野江ちゃんの身請け先があそこだったのか、と。
周囲の知恵のしぼりぐあいが、やさしくて。
思うに、この最終巻は随所に「やさしさ、あたたかさ、おもいやる察する心」があって、胸を打たれた。
本筋とは関係がないところだが、若い下級武士が澪にかけた言葉とか。
弁当屋ですんではいけない、器に盛られて温かいもので、とか。
なんと相手をおもんばかる心かと。
みんなこういう人ばかりだったらいいのにね、と思ったです(笑)
ちょっと芳さんが、いやな感じの実子オンリーラブなところが、むきーっときたけど、あの方は全巻とおして、結局は自分と自分の子の苦しみ哀しみを中心にぐるぐるしていたので、まあ、ああいうキレぐあいもありえるわね、と思ったり。
でも、わたしが澪ちゃんなら、許すまじだわ。アップダウンはげしすぎ。己の子供のことのみに関して。
自分と我が子が安穏なときだけしか、ひとにも優しくできんのかー、と。
巻末のおまけ番付が、にやにやとまらない。
ああ、澪ちゃんは、ちゃんと大阪で源斎先生と幸せにやってるんだなーと察せられて、ほっこりした。
もう特別編とか用意してくれるらしいけど、蛇足ではないかと心配になるくらい(無礼である)この番付票で、シメは効いてた。
1巻から読み続けてきたファンの醍醐味。10冊にわたる起伏に富んだ、しかし終わればすべてがよい思い出の旅路だった。
まとめて、9巻10巻の書影。
9巻目の途中で「厚い雲を切り拓き、美しい蒼天を望む」 と決意を書いたとおりである。
10巻の表紙が晴れ晴れとして良い。