のら犬物語 戸川幸夫
単行本の犬のフォントが肉球になっている。
甘えん坊の子犬だったのが、捨てられ路頭に迷い、その果ての道は険しい。
自分で歩む道を探して、居場所を見つける話。
立派なお屋敷であまり大切にされていない雌犬から、たくさんの子犬が生まれ、捨てられる。
ほかの子犬たちはどうなったかはわからない。
この子犬だけが、ずんずん先へ進んでゆき、この犬の視点で描かれる。
ボロ拾いのおじいさん一家に拾われ、ここでの暮らしがもっとも大事にされて幸福だった子犬。
火事ではぐれ、また野良犬に。保健所、脱走、野良犬生活。
ただし、やさぐれず、すさまず、3匹の仲間を連れ、こんな生活からは抜けたい、と思う。
そして、サーカスへ。巡業で偶然、おじいさん一家に再会するが、サーカスの生活が、あの犬にとって、やりがいと仲間があるものだから、という終わりだった。
寄る辺ない境遇でも、切り拓いて生きていく、という子供向けの本だけに、応援的なメッセージ。