チャーちゃん 保坂和志
ほぼ日の中で猫にまつわる話をしているページがある
そこでチャーちゃんをなくしたあとの気持ちを保坂和志氏はこう言っておられる
チャーちゃんが死ぬ2日前に、 死ぬという現実を受け入れたんですが、 泣き声が出ないんですよ。
泣き声を出すためには、胸が割れるかと思った。
そうしないと嗚咽が出ないんです。 心じゃなくてほんとに体が痛い。
この部分が身に染みるほどだった。
胸が割れるほどの、からだが痛いほどの、叫び出したいような喪失感にシンクロして、自分のときのことをまざまざと思いだしてしまった
作:保坂和志 画:小沢さかえ
絵本を読んで思ったのは、これは保坂氏の自分への処方箋のようなものだろうという気がした
冒頭で飼い主の男性のほうが大泣きしている、と自らのことに触れているが
チャーちゃん自身は天で自由に飛び回り、跳ね踊っているとつづられる
そうであってほしい、という切実な願いだ
絵本の中で、空色の大きな猫になった絵がある
その空色の猫が家を抱きかかえるようにしている場面だ
文字としては直接描写がないけれど、このページは挿絵の力に魅入られる
挿絵の小沢さかえ氏が絵のほうでも、そうであってほしいという願いを応援してくれているようだった
誰かのために書かれた絵本というより
保坂さんが保坂さんのために自分がそう信じられるように書いたのだと感じる
みんなそれぞれ飼い主たちは、おのれの悲しみと折り合いをつけるのだ
それぞれの方法で
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