百田尚樹『殉愛』の真実
後妻業とメディア業
この手の業界人暴露本系は元来読まないのだが、非常に興味深く手に取った。
発端となる百田氏の本も未読。この騒動も、遠くで聞こえる程度だった。
であるのにふと気になったのが、あの本が出版に至る仕掛け、そこへの導線、手際のいい宣伝などである。
読後、もっともどんよりとした気持ちになったのは、メディア(TV、出版業界)のもろもろ。
お金に寄ってきた女性(3番目の後妻さん)のことは、このヒトの手をとってしまったやしき氏の自己責任といったら気の毒だが、不徳のいたすところという気がした。
自分は現在、健康で若く孤独の本質を知らないので、その気持ちがわからないのかもしれない。
内心、これはいぶかしい相手だとわかっているのに、それでも振り払えず、そばにいさせた気持ちが。
他者の痛みには鈍感な冷淡さが災いして、いちばん大事でやさしい、いつもわがままさえ許してくれていた相手を、指の隙間から砂のように取りこぼしてしまった。だから、最期には、ああいうのしか残ってなかったのだよ、と哀しい気持ち。
で、天使のようだと描かれていたはずの後妻さんだが。。。。
歴代悪女パターンの踏襲。← 金に執着する品のない行動が。
寄付金を取り戻そうとしたところは、逆に笑った。考えつかない品のなさでw
しかし、先にも書いたが、それ以上に黒い印象が、テレビ局、出版、編集者の指向である。
お別れの会でスポットライトを浴びた後妻が義母に駆け寄るシーンを撮るところとか、あざとく、さもしい業界であることよ。
出版を手がけた人物は、メディアミックス先駆者ハルキちゃんの愛弟子である。宣伝その他、とても”らしい感じ”だった。
そしてまた一段とモヤっとしたのが、マルコポーロのあのヒト。
あのときも、センセーショナルな話題なら虚偽でも出して売れればOKというスタンスで大コケして任を解かれたわけだが、人間、思考は変わらないのだな、と。今も同じスタンスでおられるようす。
記事掲載で異議を唱えた女性編集者に「同じ女性として嫉妬してるんでしょ。あの子は頑張り屋さんだから」と言ったとか。
この編集者はどう我慢の折り合いをつけたのかと、想像するだにお気の毒である。
金と欲とをよく混ぜ合わせると、このような腐臭ただようドロドロの魔界が出現するのか、と暗澹たる気持ち。
ヒトというものが確実に嫌いになる本(爆)
ちなみに、百田氏という作家の作品を一冊も読んだことはない。
幾冊か話題になっていることは知っていたが、いつかも書いたが、当方はラノベ系を読まないのである。