猫の紳士の物語
メイ・サートン著 猫の紳士の物語
表紙に惹かれて買った。
猫好きの著者が一緒に暮らしたマーマレード色の雄猫がモデルであるらしい。
猫氏がハウスキーパーを選ぶのだ
人が猫を飼うという視点は本来違っていると、猫暮らしのヒトならみな知っている。
猫氏に下僕として選ばれるのだ。光栄なことに。
この主人公によりますと、猫のハウスキーパーとしてふさわしいのは、家持ちのオールドミス。慧眼ですな、やかましい子供とかいないほうがいいでしょう。なぜって最初の同居人であった子供の扱いに業を煮やして家出し、猫氏は放浪の旅を2年ほどするのだから。
最初は意気揚々だったが、やはりだんだんと疲れてくる。
幸せな猫を見ると、きーーーーっとなるくらい、自分の淋しさが際立って感じたりもする。
紆余曲折あって、ついに、理想的オールドミス家庭を獲得する猫氏。
去勢されたり病気になったり引っ越したりとあっても、彼は永遠に君臨する側であるというプライドは失わない。
白い胸エプロンをきりっとみがいて、男の矜恃を保ち、幸せに暮らしたであろうことは言うまでもない。
後書きで、作者が友人の詩人に送ったという手紙が素晴らしいので、是非、お読みください。
ほんとうに、オトナの猫は、そばにいると良いものである。